生命の完成形?ミニ盆栽の樹木は、なぜ根・幹・葉を持つのか?

生命の完成形?ミニ盆栽の樹木は、なぜ根・幹・葉を持つのか?

今のミニ盆栽はハイブリッド進化系?

松、紅葉、梅とミニ盆栽にされる樹木は植物に分類されます。人類の祖先は類人猿だったように進化を繰り返し現在の人間の姿になりましたが、植物も同じように進化を繰り返して淘汰され、合理的で最適な形状が現在の植物の姿になっています。

ミニ盆栽のご先祖様は?

中学校の復習をすると、樹木の祖先は藻類(そうるい)で、淡水や海水の水中で生育する光合成をする原始的な植物です。藻類先カンブリア時代(約20億年前)に出現しました。藻類は水中で生活し、茎、根、葉っぱの区別はなく現世まで絶えることなく生息しています。コンブやワカメも藻類で、眼で見えないほど小さな藻類も存在しています。水中にだけいた植物は進化の過程で陸上に進出します。初めはコケ植物になったとされています。その後にシダ植物や花を咲かせる植物に進化していきました。

進化での最大の壁

水から陸上に進出した植物で、まず問題となったのが乾燥です。乾燥することは生命の維持をストップすることと同じです。
古生代オルドビス紀に陸上に進出したコケ類が出現します。乾燥すると生命の維持ができないため、初めは湿った場所にしか生息していませんでした。
次に古生代石炭紀に入り、シダ類出現します。はじめて、根、茎、葉に分化した組織を持つ植物です。シダ類は乾燥にも耐えられる構造を手に入れました。葉の表面の細胞にはクチクラというワックスの層を作り、細胞から水が蒸発するのを防ぐ構造を手に入れました。

根が細いのは効率をよくするため

水蒸気が通らないようにコーティングされているため表皮細胞は二酸化炭素もほとんど通さなくなってしまいます。そうなると光合成ができないため、植物は気孔といった開閉ができる穴を表皮細胞にの間に作ることで二酸化炭素を取り込んでいます。二酸化炭素を取り込むために気孔を開くと水蒸気は失われてしまいます。そのために根を広げ湿った地中から吸い上げるようになりました。効率よく吸い上げるために根は表面積が広く、細く、細かく進化しました。

生存競争のための進化の形

光合成をするために葉の数は多くなり。重量が出ないように平たくなりました。
茎や幹は、葉を光に多く浴びさせるため高い位置に固定する必要があります。彦で支柱の役割をするため細長くなり屈強に進化しました。
古生代ペルム紀には裸子植物が誕生。中生代ジュラ紀には被子植物が誕生します。植物も、人類と同じように環境に対応しながら、最適な姿に進化させ今の形態になり、植物が誕生しました。
ミニ盆栽には花を楽しむ花物盆栽、実の鮮やかさを楽しむ実物盆栽、緑や紅葉を楽しむ雑木盆栽と種類がありますが、どの樹種も進化を繰り返し、今の環境、風土に対応できる最適な姿になったのです。

ミニ盆栽は生命力あふれた美しい姿

地球で樹木が誕生する以前の大気中の酸素は0に近く、人類のずっと昔の祖先の生物が海から陸へと上陸した4億年前でもまだ1/10です。現在は21バーセントまで増えています。これは植物が光合成で二酸化炭素を年輪として体内に取り込み酸素を放出した結果です。
長い期間をかけ、現在の動物が生存できる安定した大気を作り出した、樹木は地球最大の空調システムです。そして、現在の樹木は何億年もの間の厳しい生活環境を生き残ってきた選ばれた植物です。自然が何万世代もの歳月をかけて育んだきた樹姿は自然美の賜物です。
樹木は生命の源であり、生命力の塊です。そんな生命力の溢れた樹木をミニ盆栽にしてお部屋に飾り、自然力を分けてもらってはいかがでしょうか?

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