必要以上に肥料を与えることはよくありません
植物は水と太陽から栄養を得ています。水分が補給され、しっかり陽の光を浴びていれば、盆栽は肥料を与えなくてもまず枯れることはありません。しかし、小さな鉢で用土の量を制限され少なく、水やりの回数も多いため養分が流れやすいので肥料を与えて栄養をつけてあげることで栄養素の補給になり、確実に花が咲き、実も付けることになります。
盆栽で使う市販の用土には、栄養分はほとんど入っていません。より美しい花を咲かせ、多くの実を付けたい場合は肥料が役立ちます。必要な栄養素は肥料によって補ってあげることで丈夫で健康な状態を維持させてあげましよう。
紅葉時前に葉が黄色くなる場合があります。それは栄養分が足りなくなり、自ら葉の量を減らして力を使わないようにしているということです。葉が緑色より薄くなったり、黄色くなった場合は、栄養分が足りていないサインです。肥料で栄養素を補給してあげましょう。
ただ、肥料のあげ過ぎ木はを弱らせる原因になります。肥料は不足する養分を補うことが基本になります。風通しのよく、日当りのよい、光合成のしやすい環境で育てて、丈夫で健康に生長させることが一番です。必要以上に肥料を与えることは木の生長によくありませんので注意してください。
盆栽をすくすく育てるための3大肥料
盆栽だけではなく、家庭菜園でも植物の生長に最もかかわるのは主にこの3つの栄養素を肥料として与えます。「窒素、リン酸、カリウム」の3種を肥料の三要素と呼びます。市販の混合肥料にはNPKの比率が表示されているものもあります。
窒素(ちっそ)(N)
葉肥(はごえ)と呼ばれています。葉や茎、幹の組織づくりの生長を促進します。
植物を構成する主成分のタンパク質を作り、葉っぱや茎などの葉緑素の元になる肥料で、植物の葉や茎を育てる生長に重要な肥料成分です。
主に植物を大きく生長させ、葉や茎の生育を促進するので、常緑樹や雑木盆栽などに多く必要です。
窒素が不足すると、植物体が小さくなり、全体の葉が黄色く変色し、落ちてしまいます。茎の伸びが悪くなり、成育の障害になります。
反対に過剰になると葉が濃緑色になり、徒長(茎や枝が通常以上に長く軟らかく伸びてしまうこと)し、軟弱になるため病気になりやすく、害虫の被害も多発します。そして、季節の温度変化に対する抵抗力が低下します。
肥料例
・油カス
・魚カス
・尿素
・硫酸アンモニア(硫安)
リン酸(りんさん)(P)
花肥(はなごえ)や実肥(みごえ)と呼ばれています。花や果実の生長を促進します。
主に開花、結実の育成を助けます、リン酸は花物類や実物類に特に多く必要な栄養素です。植物の細胞質の成分になり、タンパク質や酵素を合成やエネルギー代謝に重要な役割を果たします。リン酸は窒素と違い雨で流されませんので、最初に十分な量を与えておけば追肥をする必要はありません。
リン酸が不足すると細胞の増殖が衰え、新しい茎や葉、根の生長が妨げられ、古い枝から葉色が悪くなり始めます。
肥料例
・発酵鶏糞
・骨粉
・米ぬか
・過燐酸石灰(過石)
・熔成燐肥(熔燐)
カリウム(K)
根肥(ねごえ)と呼ばれています。根や茎の生長を促進します。
加里(カリ)とも呼ばれ、根や実を発育に欠かせない要素です。
光合成された炭水化物の貯蔵や、浸透圧調整などに働く肥料成分の中では最も多く吸収される成分です。植物全体の生長を調整し、根や茎を丈夫にし、花や実、家庭菜園では球根などを太らせる働きもあります。
根や茎の活動を促進し、免疫力が向上し病気にかかりにくくなると言われています。
カリウムは不足すると抵抗力が低下し、害虫の被害に合いやすくなり、寒さの抵抗力が低下します。
カリウムは水溶性のため雨で流されて失われます。窒素と同じく生育の途中で追肥して補いましょう
肥料例
・草木灰
・米ぬか
・発酵鶏ふん
・苦土石灰
・塩化カリウム
・硫酸カリウム
盆栽をすくすく育てるための上手な肥料
肥料には効き目が早くでる肥料(速効性肥料)と効き目が緩やかに持続できる肥料(緩効性肥料)に分かれます。
緩効性肥料
油かすなどの有機固形肥料は、すぐには水に溶けず、土中の微生物によってゆっくりに分解されながら溶け、吸収されていくため有機固形肥料には化学肥料のような速効性はありませんが、効果が長く持続し盆栽や植物に適しています。
固形肥料を最初に与えて長期的に栄養を与えつつ、足りなくなった分を液体肥料で補うことが基本です。
速効性肥料
化成肥料、化学合成肥料や液肥などが速効性肥料です。
液肥の場合は、有機物が分解される過程を省いたのと同じなので有機固形肥料に比べて速効性がありますが持続性はありません。
芽切りの前の樹勢つけや、すぐに効果を上げたい時や、休眠に入る前などの補助肥料として使用するようにしましょう。
以前は化成肥料の無機肥料は盆栽にはあまり使われていませんでしたが、肥料の3要素や有機物を配合した化成肥料が開発され、使い勝手の良さから使用頻度が高くなってきているようです。
盆栽をすくすく育てるための肥料の種類
固形・粉末肥料
用土の上に置いたりや用土の中に入れる肥料です。水に溶けて徐々に効果を発揮します。植物は根の先端で肥料の栄養を吸収します。根元が伸びる方向においてください。用土の中に肥料を入れるときは、根に当たらないようにしましょう。
緩効性肥料の有機肥料と速効性肥料の化学肥料があります。
有機固形肥料は速効性こそありませんが、化学肥料よりも効果が長期間かつ緩やかに分解されます。
化学固形肥料は水に溶けやすく速効性が高いものですが、緩効性のものも開発され使いやすくなっています。
液体肥料
製品推奨のの倍率かそれ以上薄めて希釈したものを、水やりを兼ねて施します。小さな盆栽であれば鉢ごと希釈液に2~3度浸けすることもあります。
多量の肥料を1度与えるよりも、少ない量を回数多いほうが植物に負担も少なく効果もありますので最初から高濃度・多量に与えず、できるだけ薄い濃度・少ない量の肥料から与えてください。