ミニ盆栽の水やりの意味合い
ミニ盆栽は植物ですので、根から水を吸収して育ちます。ミニ盆栽に水を補給する水やりは水分の他に鉢の内部の空気の入れ替えて根に新鮮な空気を送ると共に栄養分を補給する意味合いもあります。
植物は水と太陽で命を繋いでいます。大きな鉢の盆栽は毎日、水を与えなくても大丈夫ですが、鉢の小さいミニ盆栽は冬場以外は毎日、水を与えてください。
鉢の表土が完全に乾く前に水を与えます。注意が必要なのは水を絶えず与えすぎていると鉢の中が酸素不足になり、根が腐る原因になります。
ミニ盆栽の水やりの基本
ミニ盆栽の鉢は生長を抑制し小さく作るため、小さい鉢を使います。そのため用土の容量が少なく、すぐ乾燥し、用土が乾いてしまう速度も早くなります。成長期や元気の良い樹木ほど乾燥が早くなります。葉が大きい樹木は乾燥が早い傾向にあります。乾燥すると土の表面が白くなります。水やりは土が完全に乾く前に行うことが基本となります。春から秋は、時間は朝や夕方の太陽の日差しが強くなる前の涼しい時間帯にすることが盆栽の育成には好ましい水あげのタイミングです。回数はミニ盆栽の種類や季節により異なります。ミニ盆栽の状態をよく観察し、用土が乾燥したらたっぷりと水あげをしてください。
水やりは、ただ水を与えているだけではなく、樹木の育成をチェックするという目的もあります。複数の鉢を育てていると、乾きの早い樹木と遅い樹木が出てきます。成長の度合いに個体差がありますので、剪定を控えたり、肥料を与えたりと対応できるので、ミニ盆栽の水やりの際には樹木の状態を確認しながら行ってください。
盆栽の鉢には底に穴が開いています。水を与える際は、鉢底の底穴から水が流れ出るまでたっぷりと与えてください。根は地中の全方向に伸びていますので鉢の端まで万遍なく水やりをします。用土が硬い場合は水の染み込みが遅いため、一回水が引くまで待って、水が引いてから再度、時間差でたっぷりと水を与えます。樹木によっては植え替えを3年以上していない鉢は、根が鉢中を縦横無尽に駆け巡っています。染み込む速度の遅い鉢は3〜4回ほど繰り返し水やりをして鉢全体に水を仕込みこますまで水やりが必要です。
水の通りが悪くなった鉢には箸で3ヶ所ほど土に穴を開けて水の通りを促進させてください。あまりにも大きい穴が開いてしまった場合は、粒の崩れていない細かい用土を詰めて乾燥を防いでください。
底穴から水を出し、たっぷりと水を与えると、土の粒子と粒子の間に水が入り込み用土の中は水で満たされ、空気は外に出ます。それにより、鉢内の空気が入れ替わります。新しい新鮮な空気が入るので根の成長を促進する良い環境になります。
ミニ盆栽の季節ごとの水やり
夏は1日に朝と夕方の2回やらなくてはいけません。日照りが続く真夏はもう1回水を与え3回必要な時もあります。特に夏場は育てている場所によっては朝に水をあげるだけでは夕方には乾燥して1日で枯れてしまうといこともありますので特に注意してください。学校や仕事で水やりが難しい場合は、2時を過ぎたら日陰になる場所にミニ盆栽を配置するなどして、乾燥対策の工夫が必要です。
特に夏場の日中に水やりをする場合は、葉についた水滴がレンズの役割をして強い太陽光になったり、熱せされお湯になることで葉焼けの原因になります。用土に染み込んだ水も熱くなり、根の育成によくありません。水やりのあとはしばらく日陰に移動しましょう。
春や秋の風強い日も早く乾燥しますので1日に2度は水やりが必要になります。冬は生長がとまっている時です。2〜4日に1回程度で問題ありません。
梅雨時は用土の表面だけ濡れている場合があり鉢の内部は乾燥している場合があるのでよく注意してください。
盆栽をよく観察して上手に水やりをして、盆栽を元気に育ててください。
その年に植え替えをしなかった盆栽は鉢の中で根がいっはいになり、水が浸透しにくくなります。1回水を与えた後に水が引いた後、ふただび水をたっぷりとあたえ、鉢底から水が抜けるまで水を与えてください。
水やりの際に確認したい点は、土の乾きが遅い盆栽は何かの問題を抱えている場合が多いのでよく観察しながら水やりをしてください。
ミニ盆栽の水やり方法
水やりは細かいシャワーのでるジョウロがおすすめです。荒いシャワーのジョウロだと水の勢いが強く、用土が流れてしまうことがあります。ミニ盆栽よりも小さい豆盆栽の水やりには荒い霧吹きを使用すると水やりがやりやすくなります。
鉢の中で大半の水分を吸収するのは根の先端のさらに先にある根毛で、細い根の部分です。根毛が延びる部分は鉢の中間が底部分になるため、水やりの量が少ないと根毛まで水が行き届きません。鉢の一部分から部分的に水やりをするのではなく、細かいジョウロのシャワーで鉢全体に満遍なく水やりをしてください。
毎日の水やりが盆栽を生き生きと育てる基本です。ミニ盆栽は鉢の小さいため特に夏場は水やりを欠かすと1日で枯れてしまう場合もあります。真夏は1日中日光に当たり続ける場所には置かないようにしましょう。
ミニ盆栽の水やり注意点
葉が茂っている樹木は上から水やりをしても葉が傘となって用土に水が行き渡らない原因になります。葉をかき分けて水やりをしたり、木の根元にしっかり水やりをしてください。
植え替えをしたミニ盆栽は用土が新しいので土と粒子同士の隙間があるため風通しがよく乾燥が早くなります。根が出て落ち着くまで水切れに注意が必要です。置き場所も直射日光の長い時間当たらない場所に移動しましょう。
ミニ盆栽の水やり用語
根水(ねみず)
水のやりの基本は「木の根元にやさしく」です。根元にジョウロのシャワーをまわしながらかけていきます。集中して水をかけると用土が流れ出てしまったり、しみ込む水の量よりも外に流れ出る水の量が多くなってしまいます。花に水をかけると花粉がながれて実がつきにくくなる樹種がありますので気をつけてください。
葉水(はみず)
気温が高い夏だけは葉にも水をかけてあげます。暑い夏は水分の蒸散が多く葉が乾燥します。朝夕の気温が低い時間帯の水やり時に盆栽の全体に水がかかるように葉水をして葉に直接水分を補い、葉からの水分の蒸発を抑えます。葉水は葉ダニが発生しやすい夏には害虫の予防にも効果的です。ジョウロでの弱い水流や霧吹きなどで葉に水をかけてください。ごみや、ほこりを流すことにもつながります。
ドブ漬け
土が固くなり水のしみ込みが悪い盆栽や、夏場の完全に乾いてしまった盆栽には、たらいやバケツにためた水の中に盆栽を鉢ごと浸す方法があります。そのまま気泡がでなくなるまでしっかり漬け込むと水が土や根に浸透します。 鉢の中の空気を完全に入れ替えられ、新鮮な空気を根にいかせられる効果もあります。
水やりは一般的な基本の項目をあげましたが、気候、湿度によって条件がかわります。水をあげないままで乾燥してしまえば枯れてしまいます。常日頃、条件によっては多めの回数にしてたっぷりと水を与えてすくすくと盆栽を育ててください。