暑さ寒さの厳しい時だけちょっといたわりましよう
樹木は一度根を張ると自然の中では移動できません。生えた場所の条件と環境に適応して生存競争に勝ち抜き、自らのテリトリーを確保していきます。
自然界では、夏の乾燥対策として根を広い範囲に広げることで効率的に水分を吸収し、冬には糖分や脂肪を木に養分として蓄え氷点下になっても樹木を凍らせることなく厳寒の冬を超えています。
それを考えると自然の樹木も厳しい環境下で育っていますが、ミニ盆栽は自然条件に比べて用土の量が少なく、個体が小さく、さらに剪定などの木に負担のかかることをするため、自生の環境よりさらに厳しい条件下にあります。
炎天下の夏と寒さの冬は小さいミニ盆栽にとって厳しい季節になります。対策をして暑さ、寒さ乗り切りましょう。しかし、過保護に育ててもかえって木を弱らせることになります。徐々に環境下に適応していけるように育てていきましょう。
冬越しのコツは霜除けの対策から
草花に比べれば樹木の耐寒性は強い方です。しかし、暖かい地方に自生する樹木は寒さに弱く冬場に木が弱ってしまうことがあります。
例えば柑橘類などの常緑樹は比較的寒さに弱い傾向にあります。熱帯に生息する観葉植物も寒さ大敵です。また、大きな盆栽より小さい盆栽、太い枝より細い繊細な枝をだす木も寒さに弱い傾向があります。
寒い地域に自生する樹木や、針葉樹、秋に葉を落とす落葉樹は休眠するため寒さには強い樹木になります。
寒さに弱い樹木で一番気をつけたいことは、葉が霜にあたって枯れたり、土が凍って水が吸い上げられなくて枯れてしまう、霜があげられます。大気中の水蒸気が凍って針状、うろこ状などの氷の結晶になることが霜です。農作物では葉などの細胞が凍結や低温で損傷し枯れてしまうことを霜害といいます。盆栽も同様に霜害にあいます。
最も簡単な霜除け方法は、室内に入れたり,園芸用のビニールハウスにいれることです。しかし、表土が凍ってしまっても、日中に解けてしまえば盆栽がすぐに枯れてしまうことはありません。
関東以西の地域では、寒さに弱い樹木は、夜にビニールシートをかぶせて、日中は太陽に当てるといった簡単な霜対策で充分です。
寒冷地ではムロを用意したり、大きめの発砲スチロールなどに入れたりして、雪や霜の対策をします。
乾燥対策も忘れてはいけません。
冬はインフルエンザが毎年流行するほど空気が乾燥します。ミニ盆栽は鉢が小さく用土の容量が少ないので水切れが要注意です、強い風に当たり続けると乾燥が激しくなります。
まずはヨシズ等をたてて、風除けを対策します。壁沿いに盆栽を置くだけ、囲いをたてるだけでも充分風除けになります。気をつけたいのは東京タワーがリビングから見えるような高層のマンションのベランダ、またベイエリアが一望できるような超高層のマンションのベランダです。乾燥が激しいので要注意。室外機の風に当たることも乾燥する条件下になりますので注意します。
過保護すぎることはよくありません。
冬に植物は光や温度の変化によって、芽をだす準備をします。落葉樹は冬の寒い時期はお休みをする休眠期です。寒さを体験していない木はしっかりと休むことができず、芽や花の準備ができなかったり、芽や花が早すぎて寒さの害にあい枯れてしまったりします。
しっかり寒さを体験させることが木の成長にとった大切なことになります。